近年の日本の住宅は、その大半が、「快適=汚れにくく手入れが簡単」、
という図式のもとに、プラスチックや樹脂、人工的素材を多用し、
景観や日本の気候風土に合わせるという意識を忘れている。

確かに「メンテナンスの必要が軽減され住み易い」かも知れないが、
例えば成長する庭や、風合いを増す自然素材などが年月を経て、
「一軒の家」として一つにまとまり調和して行く中で、
そういった素材を使用した部分だけが取り残され他と調和しない。

自然素材の特性を生かして家づくりをすると、
メンテナンスや工夫が必要で手がかかる。

しかし、本物の素材の持つ質感は、
日々の暮らしの中で精神的な安らぎ・充足感をもたらし、
「手間」という、
人間として生かされている者に与えられた、
義務を全うする事を「愉しむ」機会を奪わず、
やがて大人へと成長する子供たちが学ぶ「何か」を持つ家にしてくれる。

いつまでも古くならない、あるいは古くなって他と調和しない、
「便利な」工業製品の使用を減らし、
例えば木製窓・ドアなど、
経年変化して調和する、
あるいは修理・交換して使い続けたいと思わせる部材を採用する事で、
「住まう人間と共に年月を重ねられる家」に住む暮らし方を、思い出そう。

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